就労継続支援B型の指定申請の流れ|開所までのスケジュールを行政書士が解説
はじめに
就労継続支援B型の開業を検討している方から、「開業までどれくらいかかりますか?」というご質問をいただくことがあります。
結論から言うと、物件探しから指定取得まで、一般的には4~6か月程度を見込むことが多いです。
ただし、
- 物件
- 指定権者との協議
- 人員確保
などによって、開業までに要する期間は大きく変わります。
指定権者とは、障害福祉サービス事業所の指定申請を受け付け、指定や指導監督を行う自治体のことです。都道府県・政令指定都市・中核市などが指定権者となり、事業所の所在地によって申請先が異なります。まずは福祉事業をはじめようとする地域がどこの指定権者になるか把握することが大事です。
また、就労継続支援B型の指定申請は法人でなければ行うことができません。事前協議については法人設立前でも受け付けている指定権者がありますが、物件の契約などは法人名義で行うことが一般的です。
本記事では法人は設立済として、就労継続支援B型事業所の開所までの一般的な流れについて解説します。
※法人設立や、株式会社・合同会社・一般社団法人など法人の種類については、別記事「就労継続支援B型を始めるには法人設立が必要?法人設立の流れを解説」で詳しくご紹介しています。
STEP1 事業計画を作る
まずは事業計画を整理します。
確認したい主な項目は次のとおりです。
- 法人、代表者について
- 開業予定地域
- 定員
- 作業内容
- 資金計画
- 利用者募集方法
- 人員配置 など
この段階で開業スケジュールも検討します。
STEP2 物件を探す
就労継続支援B型では、物件選びが非常に重要です。
物件契約前に確認したい事項として、
- 用途地域
- 建築基準法
- 面積要件
- 建物の確認済証、検査済証の有無
- 消防設備
などがあります。
特に、
「200㎡未満だから用途変更不要」とは必ずしもならないので注意が必要です。
契約前に建築士や行政書士へ相談することをおすすめします。
STEP3 指定権者との事前協議
多くの指定権者では、指定申請を行う前に事前協議(事前相談)が必要となります。
事前協議では、主に次のような資料を持参または提出します。
- 予定している物件の平面図
- 事業計画書
- その他、指定権者が指定する資料
このうち、特に重要なのが物件の平面図です。平面図をもとに、設備基準や部屋の配置などについて行政担当者から確認を受けることになります。
そのため、物件の賃貸借契約や購入契約は、事前協議を終えて行政から概ね問題ないとの確認を受けてから行うことをおすすめします。
契約後に設備基準を満たしていないことが判明すると、改修費用や契約解除などの大きな負担が生じる可能性があるためです。
また、指定権者によっては、管理者やサービス管理責任者など職員の人員配置が決まっていなければ事前協議を受け付けてもらえない場合もあります。
事前協議の受付条件は指定権者ごとに異なるため、事前に確認しておくと安心です。
事前協議の実施方法も指定権者によって異なります。
- 担当者との面談形式
- Zoom等によるオンライン形式
- 書類提出のみ
など、さまざまな方法があります。
面談形式の場合は、
- 法人代表者
- 管理者予定者
- サービス管理責任者予定者
などの出席が望まれることが多いですが、行政書士の同席を認めている指定権者も多いです。
事前協議は、指定申請に向けた重要な確認の場です。不明点や不安な点があれば、この段階で確認しておくことをおすすめします。
STEP4 基準を満たすよう職員を採用・配置する
事前協議が終わったら、人員基準を満たすためのスタッフを確保していきます。
就労継続支援B型では、主に次のような職員を配置する必要があります。
- 管理者
- サービス管理責任者
- 職業指導員
- 生活支援員
事業所の定員や運営体制によって必要となる人数は異なりますが、人員基準を満たすよう採用計画を進めることが重要です。中でも、サービス管理責任者の確保は開業準備において最も重要なポイントの一つです。
サービス管理責任者は実務経験や研修修了などの要件を満たしている必要があり、「採用できたと思ったら要件を満たしていなかった」というケースも少なくありません。
また、指定申請では実務経験証明書や研修修了証などの提出が必要となるため、前職への証明書発行依頼に時間がかかることもあります。そのため、サービス管理責任者については、履歴書や職務経歴書を確認し、配置要件を満たしているかを早い段階で確認しておくことをおすすめします。
なお、サービス管理責任者の要件や、応募があった際に確認したい書類については、別記事で詳しく解説しています。
STEP5 各種書類の作成・準備
職員の配置・採用の後にSTEP5として各種書類の作成を記載していますが、実際には事前協議の前後から書類の作成・準備を進めていきます。
主な準備書類として、
- 指定申請書
- 法人の履歴事項全部証明書
- 勤務形態一覧表
- 組織体制図
- 運営規程
- 事業計画書
- 平面図
- 建物の確認済証・検査済証の写し
- 設備・備品一覧
- 防火対象物使用開始届の写し
- 管理者・サービス管理責任者の経歴書
- サービス管理責任者の実務経験証明書
- サービス管理責任者研修修了証
- 利用者からの苦情解決措置概要
- 主たる対象者特定の理由書(特定する場合)
- 障害者総合支援法第36条第3号各項に該当しない旨の誓約書
- 協力医療機関との契約の内容
- 各種加算届出書
などがあります。
指定権者によって提出様式や必要書類は異なります。
これら膨大な書類を作成・準備する一方で、物件の契約や内装工事、備品の購入、職員採用など、開業に向けたさまざまな準備も並行して進めていかなければなりません。すべての準備が整ってから書類作成を始めると、その分だけ開業時期が遅れてしまいます。そのため、開業準備と書類作成は同時進行で進めることが重要です。
数ある提出書類の中でも、準備に時間がかかることが多いのが協力医療機関との契約です。就労継続支援B型では、利用者の急病や事故などに備え、協力医療機関を確保する必要があります。協力医療機関の役割や契約内容については、別記事「協力医療機関とは?契約内容や契約時のポイントを解説」で詳しくご紹介しています。
STEP6 指定申請
必要書類が揃ったら、指定申請を行います。
申請方法は指定権者によって異なり、
- 窓口への持参
- 郵送
- 電子申請(WEB)
などの方法があります。
申請時には、まず日付の記載漏れや記載内容の誤り、添付書類の不足など、形式的な不備がないかを行政担当者が確認します。
不備がなければ申請書類は「受理」となり、その後、本格的な内容審査が行われます。
審査期間は各指定権者により公表されていておおむね1ヶ月程度ですが、審査期間3ヶ月という指定権者もあります。。
審査の過程では、
- 書類の補正
- 追加資料の提出
- 内容に関する質問や確認
を求められることがあります。
スムーズに指定を受けるためには、行政からの問い合わせや補正依頼に速やかに対応することが重要です。
STEP7 実地確認(指定権者による現地確認)
指定権者によっては、指定申請後に実地確認(現地確認)が行われます。
実地確認の実施時期は指定権者によって異なり、指定前に行われる場合もあれば、指定後に行われる場合もあります。
主に次のような事項について確認されます。
- 申請書どおりの設備が整っているか
- 平面図どおりに設置されているか
- 人員配置に問題がないか
- 運営開始に必要な準備が整っているか
実地確認では、申請内容と実際の事業所の状況に相違がないことが重要です。
STEP8 指定取得
審査が完了すると、指定権者から指定する旨の連絡があります。
多くの指定権者では、障害福祉サービス事業所の指定日は毎月1日となっています。
指定の連絡は、指定日の数日前から1週間程度前に電話やメールなどで行われ、その後、指定通知書(指定書)が郵送されるケースが一般的です。
指定日を迎えると、就労継続支援B型事業所として正式に運営を開始することができます。
開業までどれくらいかかる?
一般的な目安としては、
| 内容 | 期間 |
| 物件探し | 1~3か月 |
| 人員確保 | 1~2か月 |
| 書類作成 | 1か月程度 |
| 指定権者による審査 | 1~3か月 |
合計すると、
4~6か月程度
を見込むことが多いです。
ただし、サービス管理責任者の確保や物件の状況によってはさらに期間を要する場合があります。
まとめ
就労継続支援B型の指定申請は、
- 事業計画の作成
- 物件探し
- 指定権者との事前協議
- 人員基準を満たす職員の採用・配置
- 各種書類の作成
- 指定申請
- 実地確認
- 指定取得
という流れで進みます。
特に、
- 物件選び
- サービス管理責任者の確保
- 指定権者との事前協議
は、開業スケジュール全体に大きく影響する重要なポイントです。
また、指定権者によって提出書類や運用、スケジュールが異なるため、早い段階から確認しながら準備を進めることをおすすめします。
開業準備はやるべきことが多く、一つひとつ進めていく必要がありますが、計画的に準備を進めれば決して難しいものではありません。
よくある質問
Q. 指定申請は自分で行うこともできますか?
はい、事業者ご自身で指定申請を行うことは可能です。
一方で、事業者本人以外が報酬を得て指定申請書類を作成したり、申請手続きを代理したりすることは、行政書士法により行政書士の業務とされています。
そのため、行政書士でない者が業として指定申請書類を作成したり、申請手続きを代行したりすると、行政書士法に違反する可能性があります。
就労継続支援B型の指定申請では、指定権者ごとに提出書類や運用が異なり、事前協議や補正対応が必要になることも少なくありません。
ご自身で申請を行うことも可能ですが、スムーズな開業を目指すため、行政書士へ依頼される事業者も多くいらっしゃいます。
Q. 開業まで最も時間がかかるのは何ですか?
事業所によって異なりますが、
- 適切な物件探し
- サービス管理責任者の確保
- 協力医療機関との契約
に時間を要するケースが多く見られます。
Q. 行政書士にはいつ相談するのがよいですか?
物件を契約する前の段階からご相談いただくことをおすすめします。
事前協議や物件の確認、人員配置の検討などを早い段階から進めることで、後から大きな修正が必要になるリスクを減らすことができます。
福祉事業指定申請ナビへご相談ください
福祉事業指定申請ナビでは、就労継続支援B型をはじめとした障害福祉サービス事業の指定申請をサポートしております。
- 開業スケジュールのご相談
- 物件選定に関するご相談
- 人員配置の確認
- 指定権者との事前協議
- 指定申請書類の作成
など、開業準備全般をサポートいたします。
「何から始めればよいかわからない」「この物件で開業できるだろうか」といった段階でも、お気軽にお問い合わせください。

