株式会社・合同会社・一般社団法人・社会福祉法人どれを選ぶ?就労継続支援B型の法人設立を行政書士が解説

はじめに

就労継続支援B型の開業相談を受けていると、「どんな法人を作ればいいですか?」というご質問をいただくことがあります。
就労継続支援B型などの障害福祉サービス事業は、法人でなければ指定を受けることができません。そのため、開設準備では法人設立が最初の大きなステップとなります。
指定を受けるためには、

・株式会社
・合同会社
・一般社団法人
・社会福祉法人

などの法人であることが必要です。
なお、指定権者によっては事前協議(事前相談)の段階であれば法人設立前でも受け付けてもらえる場合があります。
そのため、法人設立の時期については、開設スケジュールに合わせて検討するとよいでしょう。

合同会社・株式会社・一般社団法人・社会福祉法人の違い

就労継続支援B型を運営できる代表的な法人形態には、合同会社・株式会社・一般社団法人・社会福祉法人があります。


株式会社
株式会社は、日本で最も一般的な法人形態です。
「事業を大きく成長させたい」「将来的に店舗や事業所を増やしたい」と考えている事業者に多く選ばれています。
社会的信用度が高く、金融機関や取引先からの評価を得やすいことが特徴です。また、株式を発行して資金調達ができるため、大規模な事業展開にも向いています。
一方で、合同会社と比べると設立費用が高く、株主総会の開催や役員変更登記など、運営上の手続きが多くなる傾向があります。


合同会社
合同会社は、設立費用を抑えながら法人を設立できることから、近年非常に人気のある法人形態です。
株式会社と同じ営利法人ですが、「出資者=経営者」であるため、意思決定がスピーディーに行えることが大きな特徴です。また、役員の任期がないため、役員変更登記の負担もありません。
そのため、就労継続支援B型を新たに開設する事業者にも多く選ばれています。
一方で、株式会社と比べると社会的信用度がやや低いと言われることもありますが、就労継続支援B型の指定申請において不利になることはありません。


一般社団法人
一般社団法人は、利益の分配を目的としない非営利法人です。
ここでいう「非営利」とは、利益を上げてはいけないという意味ではありません。事業で利益を得ることはできますが、その利益を社員(構成員)へ配当することはできず、法人の活動目的のために使用することになります。
障害福祉サービス事業との親和性も高く、「地域貢献」や「社会福祉活動」を重視したいという考えから、一般社団法人を選択するケースも少なくありません。


社会福祉法人
社会福祉法人は、社会福祉法に基づいて設立される公益性の高い非営利法人です。
就労継続支援B型をはじめとする障害福祉サービス事業を運営できますが、設立には所轄庁の認可が必要であり、設立要件も厳しくなっています。
また、社会福祉事業を主たる目的とすることが求められ、収益事業を行う場合でも、そこで得た利益は社会福祉事業や公益事業へ充てなければなりません。株式会社のように利益を出資者へ分配することはできません。
さらに、社会福祉法人は公益性の高い法人であることから、収益事業以外の所得について法人税が課されないなど、税制上の優遇措置が設けられています。そのため、新たに就労継続支援B型事業を始める場合に最初から社会福祉法人を設立するケースは少なく、多くは既存の法人が新たな就労継続支援B型などの事業所を開設するケースが多い印象です。

法人形態の比較


私の印象(実務ベース)

あくまで私の実務経験ですが、新規で就労継続支援B型を開設される事業者では、次のような印象があります。

合同会社:★★★★★
株式会社:★★★★★
一般社団法人:★★★☆☆
社会福祉法人:★☆☆☆☆

合同会社と株式会社が最も多く、一般社団法人も一定数あります。
社会福祉法人は既に福祉事業を運営している法人が新たに事業所を増設するケースではよく見られますが、新たに就労継続支援B型を開設するために社会福祉法人を設立するケースは、私の実務ではほとんどありません。

定款の事業目的

法人を設立する際には、定款へ事業目的を記載します。
就労継続支援B型を運営する場合には、

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業

と、実際に行う事業内容、予定する事業に応じて事業目的を記載しておく必要があります。
将来的に生活介護や共同生活援助(グループホーム)なども運営する予定がある場合には、それらも見据えた事業目的を検討するとよいでしょう。
なお、「障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業」という記載でも意味は通じますが、「障害者総合支援法」は法律の略称です。指定権者によっては正式な法律名での記載を求められ、定款の修正(補正)を指示されることがあります。そのため、最初から正式名称である「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業」と記載しておく方が無難です。

法人はいつ設立すればいい?

指定申請を行う時点では、法人が設立されている必要があります。
一方で、指定権者によっては法人設立前でも事前協議ができる場合もあります。
ただし、物件の賃貸借契約等の各種契約は法人名義で行うことが求められるため、契約のタイミングも考慮しながら法人設立時期を決めることが大切です。

誰に依頼すればいい

法人設立を進める際、「誰に相談すればいいですか?」というご質問もよくいただきます。
税理士、司法書士、行政書士等に依頼することができますが、それぞれ専門分野が異なります。


税理士
法人設立後の会計や税務申告、顧問契約まで含めて相談したい場合は、税理士へ相談するとよいでしょう。税理士によっては、提携する司法書士を通じて法人設立までサポートしている事務所もあります。


司法書士
法人設立登記を依頼したい場合は、司法書士が専門です。定款の作成から法務局への登記申請まで依頼できます。


行政書士
就労継続支援B型の指定申請まで見据えている場合は、行政書士へ相談する方法もあります。
法人設立そのものの登記は司法書士の業務となりますが、行政書士であれば、

・開設スケジュールの作成
・事前協議
・物件選び
・人員配置
・指定申請

まで含めて全体を見据えたアドバイスを受けることができます。
司法書士や税理士と連携している行政書士であれば、法人設立から指定取得までワンストップで進められることも大きなメリットです。

まとめ

就労継続支援B型を開設するためには、法人であることが必要です。
合同会社・株式会社・一般社団法人にはそれぞれ特徴がありますが、どの法人形態を選んでも指定申請を行うことは可能です。
大切なのは、法人設立だけではなく、

・開設スケジュール
・物件探し
・人員確保
・指定申請

まで見据えて準備を進めることです。
法人設立後に「次は何をすればいいの?」と迷わないよう、事前協議や指定申請も含めた全体のスケジュールを考えながら進めることをおすすめします。

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